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Xは、令和3年12月、Y所有の土地建物(本物件)を購入しました。売買契約(本契約)時に取り交わした「物件状況等報告書」(報告書)には、次の記載がありました。
重要事項説明書には、対象不動産に含まれない私道に関する事項の説明として、当該私道の通行(車両を含む)および設備の敷設をする場合は、所有者の承諾が必要であること、ゴミ収集およびゴミ集積所に関する問題については、当事者間で協議し、解決することの記載はあるものの、その他のゴミ集積所の利用関係、近隣関係についての記載はありませんでした。
また、Xは、本契約締結前に、Yに対し、近隣トラブルの有無について確認をしましたが、Yは、隣家の樹木が越境して伸びてくること以外に近隣トラブルはない、と回答しました。
Xは、本契約後に、工事を依頼した塗装事業者が私道に車両を駐車させていた際に、近隣住民から、強い抗議を受けたため、宅建事業者を通して、近隣の事情聴取をしたところ、他の近隣住民にたびたび苦情を述べたり、大声で罵倒したり、Yとの間では、ゴミ捨てについてのトラブルを生じていた住民がいること、Yの自転車に米のとぎ汁のような液体がかけられるという事件があったこと等を聞きました。
Xは、そのような近隣関係トラブルがある状態では平穏な生活はできないとして、Yに対し、主位的には、民法第542条・564条・565条に基づいて売買契約を解除し、代金の一部として支払った600万円の返還等を求めて、予備的には近隣トラブルの存在やゴミ排出を巡るトラブルの存在について説明すべき義務があったのに告げなかったとして、民法第709条に基づく損害賠償請求等の支払いを求めて提訴しました。
裁判所は、次の通り判示し、Xの請求を棄却しました。
Xが依頼した塗装事業者が私道に車両を駐車していた際に、近隣住民から苦情を述べられたこと、過去にYが自宅敷地内に駐輪していた自転車に汚損があったこと、ゴミの排出について、ポリバケツに入れて排出することの協議および合意があったことが認められるが、これらから直ちに、Xの居住ができない程度に契約不適合の事実があったとは認めることができない。Xは、自転車の汚損について、米のとぎ汁のような液体が自転車にかけられたものと主張するが、汚損が米のとぎ汁かどうかは定かではないし、これを近隣住民が行ったとする的確な証拠はない。
また、Yが本物件に防犯カメラを設置したことは認められるが、前記の自転車の汚損との関係は定かではないこと、手付金が当初300万円の提案であったが、最終的に600万円となったことは認められるものの、手付金が売買代金の1割であることが殊更高額であることをうかがわせる証拠はなく、手付金額の変更は通常の交渉の一過程であるといえ、この経過からYが近隣トラブルを隠していたと推認することはできない。
Xは前記に加え、宅建事業者が聞き取った事情などから、近隣トラブルが存したものと言えると主張する。
しかしながら、宅建事業者が聞き取った近隣トラブルに関する事情は、主に、本件不動産の隣地に居住する者からのものであり、かつ、同人の供述を裏付けるような事実が存することは認められない。さらに、Yによれば、隣人とYとの関係は良好であり、むしろ、Yが本件不動産を売却するのであれば、購入を検討するような関係であったことからすると、近隣との関係が悪いように説明し、Xによる購入を断念させようとした意図が存したとしても不自然ではなく、隣人による聞き取りにかかる事実が存したことをにわかには信用することができず、他にこれを裏付ける証拠はない。また、Xが依頼した塗装事業者が本件私道に車両を駐車させた際に、近隣住民から苦情を受けたことは認められるが、本件私道の使用については協議が必要であり、苦情を述べられ、それが厳しい口調であったことをもっても、直ちに近隣トラブルを推認させるものではない。従って、Xの主張する契約不適合が存したとは認められない。
少なくとも説明義務を構成する程度の隣人間のトラブルがあったとは認められないこと、ゴミ集積所の利用方法についても、協議をした事実は認められるものの、ポリバケツに入れて排出する程度のもので、書面等による合意もなく、箱に入れる以外に特段の配慮を要するものではないことに照らすと、説明義務を構成する程度の内容であるとは解されない。従って、Yによる義務違反の主張は認められない。よってXの請求については理由がないのでこれを棄却する(東京地裁 令和5年3月15日判決)。
本件では、近隣トラブルを売主が告知しなかったとして争ったものですが、契約不適合に当たると主張するようなトラブルの存在は認められないとして、買主の請求が棄却されました。
実際に生活に支障が出るような近隣トラブルがある場合は、売主に告知義務があると考えられますが、トラブルに当たるかどうかの判断は個人の主観によるところも大きく、告知すべき内容かどうかの判断は難しいケースが多々みられます。
宅建事業者としては、トラブル防止の観点から、売買契約における売主の告知義務について、告知義務の重要性を売主によく説明の上ご理解いただいて、でき得る限り、事実関係を告知事項として買主に伝えるよう助言するとともに、宅建事業者も買主の契約の判断に影響を与えるような事実を知っていて告げなかった場合に、責任を問わますのでご注意ください。
売主は、隣人から「子供がうるさい」と苦情を受けたり、洗濯物に水や泥をかけられ、物件を売却することとし、宅建事業者に物件売却を依頼。
他の購入希望者の内覧時にも、隣人からの苦情があり、購入を断られたケースもあったが、買主が内覧した際には、隣人からの苦情はなく、売買契約が結ばれ、売主から提示された物件状況等報告書には、「隣接地の住人より、騒音等による苦情があった」との記載のみがあった。
買主が、本物件を訪れたところ、複数回にわたり、隣人から苦情を受け、警察を呼ぶ騒ぎにもなったため、買主は、本物件での居住を断念し、売主および宅建事業者に対し、説明義務違反、不法行為による損害賠償を請求。第一審が請求を棄却したため、買主は控訴をした。
控訴審は、以下の通り判示し、売買代金の20%を買主の損害と認定した。
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