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賃貸のお困りQ&A

振り込め詐欺に使われた部屋

相談内容

「次のニュースです。首都圏に住む高齢者から振り込め詐欺で現金をだまし取ったとして、警視庁は住所不定無職の男ら3人を逮捕しました。調べによると、男らは、多数の受け子らに指示を出すなどして組織的に詐欺を働いており、警察は組織的な背景があるものとして捜査を進めています」
Aが、朝のニュースを聞き流して、出社すると店長のBに呼ばれた。
「今朝ニュースで流れていたらしいんだけど、Aさんが以前賃貸仲介した物件が振り込め詐欺で使われていたらしい」
Aの話によると、警察から管理課に捜索差し押さえに部屋の鍵を開錠してほしいという連絡が入り、警察が強制捜査に入って事情が判明したという。
その後、物件オーナー様に管理担当より今回の一件と退去対応のご報告をしたところ「一体どういう入居審査をしているんだ。募集会社と一緒に資料を持ってすぐ説明に来い」とお叱りを受けたそうである。慌てて借主法人の㈱αと代表取締役社長D氏の審書書類を準備して確認した。「まずいな。D氏の住民票に書いてある生年月日と、健康保険証に書いてある生年月日が違っている」困ったことになった。

店長B氏とA氏は、入居審査の段階で不審な点を見抜くことはできなかったのでしょうか。
法人登記から何か読み取れることはないのでしょうか。

賃貸借契約の内容

賃料(共益費込)
20万円(いわゆる分譲賃貸物件)
物件所在地
千葉県船橋市
占有面積
108.21m2
使用面積
居住用として
契約期間
平成27年8月20日~平成29年8月19日
契約日
平成27年8月20日
賃借人
㈱α(所在地:東京都新宿区新宿○丁目、代表取締役:D氏)

管理会社からの報告

  • 煙草のヤニ等と思われるが賃貸物件内部は1年しか使っていないのにひどい状況。室内にはいくつものデスクや電話機、大量の資料、ごみが散乱している。原状回復費用は見積もりで約270万円。
  • 今回の逮捕者に賃借人はいない。賃借人とは全く連絡が取れない。日勤の管理人も賃借人の顔を見たことはないという、契約の法人所在地は登記記載のものだが言質はずいぶん前から別の名前の事務所が入っている。
  • これまで滞納や、この部屋について近隣からのクレームはない。

法人登記簿

この法人登記簿から不審な点を読みとることはできないでしょうか

【登記①】最新法人登記簿
商号 ㈱α
本店 東京都新宿区新宿○丁目3番19号 第一山田ビル3F
広告をする方法 官報に掲載している
会社設立の年月日 平成15年10月10日
目的
  1. インターネットに関するソフトウェアおよびハードウェアの開発事業
  2. インターネットに関するリスティング広告事業
  3. ウェブサイトおよびポータルサイト事業
  4. インターネットに関する検索エンジン最適化対策事業
  5. 前各号に付帯する一切の事業
発行可能株式総数 2000株
発行済み株式の総数並びに種類及び数 発行済株式の総数 1000株
資本金の額 金1000万円
株式の譲渡制限に関する規定 当会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を受けなければならない
役員に関する事項
取締役D
平成27年7月9日就任
代表取締役D
埼玉県行田市佐間○丁目22番11号
平成27年7月9日就任
登記記録に関する事項 平成27年7月9日
千葉県松戸市千駄堀○-7から本店移転
【登記②】閉鎖登記簿(その1)
これは閉鎖された登記簿です。
商号 ㈱α
本店 東京都新宿区新宿○丁目3番19号 第一山田ビル3F
広告をする方法 官報に掲載している
会社設立の年月日 平成15年10月10日
目的 ソフトフェアおよびハードウェアの開発事業
資本金の額 金1000万円
登記記録に関する事項

平成27年7月9日
有限会社○○インクを商号変更し、移行したことにより設立
平成27年7月9日登記

平成27年7月9日
東京都新宿区新宿○丁目3番19号 第一山田ビル3Fに本店移転
平成27年7月21日登記
平成27年7月21日閉鎖

【登記③】閉鎖登記簿(その2)
これは閉鎖された登記簿です。
商号 有限会社○○インク
本店 千葉県松戸市千駄堀○-7
広告をする方法 官報に掲載している
会社設立の年月日 平成15年10月10日
目的
  1. 医療器具の販売
  2. 健康食品の販売
  3. 美容健康器具、化粧品、宝石、アクセサリーの販売
  4. 前各号に付帯する一切の事業
発行可能株式総数 500株
発行済み株式の総数並びに種類及び数 発行済株式の総数 500株
資本金の額 金500万円
株式の譲渡制限に関する規定 当会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を受けなければならない
役員に関する事項
取締役W
平成24年6月8日辞任
平成24年6月12日登記
取締役L
平成24年6月8日辞任
平成24年6月12日登記
取締役M
平成24年6月8日辞任
平成24年6月12日登記
代表取締役W
千葉県松戸市千駄堀○-7
平成24年6月8日辞任
平成24年6月12日登記
登記記録に関する事項

設立
平成15年10月10日登記

平成27年7月9日
千葉県松戸市千駄堀○-7㈱αに商号変更し、移行したことにより解散
平成27年7月9日登記
平成27年7月9日閉鎖

法人登記から何が読み取れるか

① 会社設立の日について

商号、本店住所地、目的など、法人登記上の記載のほとんどは変更することができます。
しかし、会社設立の日だけは、いったん登記簿ができると変更することができません。
そのため、会社設立日が古いことをもって歴史のある会社だと思われがちですが、法人登記上の会社の設立日が古くても、それだけで信用できる会社とはいえません。
というのは、実社会では、活動を休止した「休眠会社」を買い取るということが横行しているからです。休眠会社を買った者は、登記された法務局の管轄外に本店を移動させます(これを管外移転といいます)。このようにすれば、買い取る以前の会社の登記内容が新しい登記上はわからなくなり、休眠会社を買い取ったことを表面上隠すことができるからです。
したがって、管外移転を伴う本店移転がある場合は、過去の閉鎖登記簿を取る必要があります。

② 本店移転について

一般的に登記上の本店所在地には、本社事務所が置かれ、事業の本拠地となります。そのため、本店移転を頻繁に繰り返したり、遠方に移転するということは通常あまりありませんでした。そのため、

  1. 本店が遠方(法務局の管轄外に移転しているときは注意)に移転している
  2. 本店は頻繁に移転している
  3. 本店移転に伴って商号も変更されている

などの場合には、過去の本店所在地を追跡し、登記内容を確認するとともに、どんなビルに入っていたかなどからその会社の信用性を調査してください。

③ 本件の登記について

【登記①】を見ると、㈱αの会社設立は平成15年10月10日となっており、一見すると、賃貸借契約締結時ですでに会社設立から12年近く経っているように思えます。しかし、代表者の就任は平成27年7月9日であり、賃貸借契約の直前です。さらに、平成27年7月9日に千葉県松戸市から本店移転がされています。この記載から、「この会社は平成27年7月9日に会社の支配や実態が変わったのではないか?」と疑うことができます。そこで、過去の閉鎖登記簿をさかのぼって調査します。

【登記②】を見ると、平成27年7月9日に商号が変更されています。ますます休眠会社を買い取った疑いが強まりました

さらに登記をさかのぼって【登記③】を見ると、

  1. 以前の役員が全員交代している
  2. 会社の目的(事業内容)がすべて変わっている

ことから、㈱αは、休眠会社を買い取り、今回賃貸借契約を締結するためにつくられた会社であることがわかります。
おそらく㈱αの代表取締役D氏は、振り込め詐欺具ルー王に弱みを握られ、このようにしてつくられた会社の表面上の代表取締役となるよう、名義貸しを行ったものとみられます。
このように、登記に疑わしい記載がある場合には、過去の閉鎖登記をさかのぼることなどによって、こうしたいかがわしい会社からの賃借の申し込みを審査の段階で落とすこのができるのではないでしょうか。

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