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JRの主要駅の高架下に鉄骨造2階建ての店舗があり、遊技場等の営業が行われています。JRが契約期間満了を理由に明渡しを求めているようです。建物所有目的の土地賃貸借契約に借地借家法の適用はないのですか?
事案の推移をたどって考えましょう。
日本国有鉄道(旧国鉄)の所有時代は、当駅周辺の高架下土地は私人が国鉄に当地の使用を出願し、国鉄が使用を承認すると、期間3年で使用が承認されました。土地の用途の定めはなく、使用者は建物を設置して使用しました。ただし当地の上部は高架で遮られ、地中と地表には高架の支柱等が貫通しており、地表、上空、地中の使用はそれらを避けた限定的な使用に留まり、土地は「土地(高架下)」と表示され、使用承認は特殊な無名契約と解されています。
今回の訴訟では、国鉄の民営化で事業を引き継いだ西日本旅客鉄道㈱(JR西)が国鉄とA社(遊技場)間の無名契約の趣旨を尊重し、昭和62年4月1日、期間30年、用途:堅固建物の設置のための土地(高架下)賃貸借契約を締結しました。B社(飲食店)も同様です。
平成28年5月23日、JR西はA社に契約が平成29年3月31日期間満了で終了する旨を通知し、同通知は5月23日頃A社に到達。B社も同様でした。両社とも借地法の適用を主張して契約の終了を争い、JR西が両社の提訴し建物収去明渡しを請求。争点は本件土地賃貸借契約に借地法が適用されるかです(平成6年8月1日以前のため旧借地法)。
適用の場合、更新拒絶に正当事由の具備が必要となります。AB両社は、本件契約は期間30年とし、土地の用途を堅固建物の設置と定めた高架下土地の賃貸借契約であり、借地法の適用があると抗弁しました。
戸地裁は「A地257m2は駅東改札口に隣接し改札口からホームに至る通路を含む駅施設下に位置する。地下には高架柱を支える基礎および地中梁があり、地上には複数の高架柱とA社所有の鉄骨造高架下2階建ての建物が存在する。B地14m2はA地の西隣の高架橋下土地であり、地上に高架柱2本とB社所有の木道平屋建ての建物が存在する。賃料は最終的にA地が年額692万2200円(相当賃料額は年額3100万~5200万円)、B地が年額25万5100円(正常実質賃料は年額54万2000円)でした。契約解除の条項は、原告が①高架構築物等の改修その他軌道事業または公共事業等のため重大な支障を生じたとき、②事業の用に供する必要が生じたときは、契約期間中であっても直ちに本契約の全部または一部を解除できるとあり、地形が物理的に制約されているほか一般的な建物所有目的の土地賃貸借契約に見られない制約が定められ、賃料は相当額の半額ないし5分の1程度の額に留まる等、特殊な契約であり、借地法は適用されないというべきである」と判示して原告の請求を認容し、被告両社に建物収去土地明渡しを命じました(神戸地裁 令和2年2月20日判決判例時報2472号)。
東京地裁 平成19年9月28日判決も、高架橋下土地の賃貸借について、借地法の適用を否定しています(判例タイムズ1266号)。
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