Nスタイルホームは創業13周年を迎えました。
当社は売主様からのご依頼を受け、買主様候補を探しておりました。売主様は早期の物件売却を希望されていたところ、折よく「α駅」に近い手ごろな物件を探されている方からの問い合わせが他の不動産会社を通じてあり、とんとん拍子に話が進み、瑕疵担保免責、金額2700万円で契約がまとまりました。
決済後、買主様側の仲介会社から「引き渡しを受けて買主様が畳をはがしたところ、畳の裏や床板が腐っていた」という連絡が入りました。特に床板は激しいそうで、補修には少なくとも130万円かかることがわかりました。一方、床板については補修跡があったそうで、買主様側の仲介会社から「この戸建ては売主様が建てたものだから、売主様は床板が腐っていることを知っていたはずれはないですか」という指摘がありました。
翌日、早速売主様にお店でお話を伺いました。売主様のご説明は最初二転三転していましたが「解除や賠償だと言われても、売買代金は借金の返済に使ってしまっていてお金はないんだ」「どうにもならないので、何もできないです」とおっしゃっており解決になりませんでした。
それを買主様側仲介会社にお伝えしたところ、買主様からは「売主様だけでなく、仲介会社に調査報告義務違反に基づく損害賠償を請求する」と言われてしまっています。
X 現況有姿って、よく契約書に書いてあって、今までなんとなく「瑕疵の責任は負わなくてもいい」くらいな意味で使ってましたけど、あれって正確にはどういう意味なのでしょうか。
担当弁護士 現況有姿とは、一般に、売買において契約ホに目的物に変化が生じても、そのまま引き渡すことを言います。現況有姿という文言を契約で使えば、瑕疵担保が免責されるという誤解をされる方もいますが、間違っています。
Y 今まで、瑕疵担保免責のつもりで契約していましたが大丈夫でしょうか。
担当弁護士 もし瑕疵担保免責を求めるのであれば、特約で「本契約は現況有姿売買とし、また瑕疵担保責任は免責とする」などと瑕疵担保免責であることを明確にしておく必要があります。一般的な契約文言はそのようになっていると思いますが、たまに瑕疵担保免責を明示していない特約文言にお目にかかることがあります。
X 瑕疵担保免責って便利なんでよく使うんですが、この時間を見てたら不安になってきました。
担当弁護士 瑕疵担保免責といっても、免責が認められない場合がいろいろあります。
① 売主が宅建業者の場合
売主が宅建業者である場合、売買契約で瑕疵担保免責条項を定めたとしても無効となり、最短2年の瑕疵担保免責を負うことになります(宅建行法40条)
② 売主が事業者、買主が消費者である場合(消費者契約)
売主が事業者、買主が消費者である場合、消費者契約となり、消費者契約法の適用があります。消費者契約においては、瑕疵担保責任に基づく損害賠償責任の全部を免除する条項は無効となります(消費者契約法8条1項5号)。
③ 売主が瑕疵の存在を知っていた場合
売買契約において、隠れたる瑕疵を免責する旨特約に記載したとしても、売主が瑕疵の存在を知っていて買主に告げなかった瑕疵について菓子担保免責を主張することはできません(民法572条)。
担当弁護士 床に補修跡が残っている以上、売主は床が腐っていたことを認識していたといえますから、瑕疵担保免責を主張することができないでしょう(民法572条)。裁判所もそのように認定すると思います。したがって、売主は瑕疵担保責任を負い、買主は損害賠償を請求することができます。
担当弁護士
仲介会社は媒介契約として契約関係にない一方、当事者に対しても誠実義務を負い(宅建業法31条1項)、専門業者として売買契約の目的が達成されるよう配慮すべき義務を負います。この場合、買主と売主側仲介会社に契約関係はありませんから、不法行為としての損害賠償責任の有無が問題になります。
今回の事案では、契約前に雨漏りがあることを聞いた時点で、屋根の修理をしたことを聞いていますが、雨漏りによりその他の箇所について被害はないのかを聞き、必要に応じて現地を確認しておくべきことだったと通常裁判所は事実認定するものと考えられますので、売主側仲介会社は不法行為として買主に対し損害賠償責任を負うと判断される可能性が高いと考えられます。
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