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「15階建てのマンションの一室で、区分所有者が民泊を経営し管理組合から訴えられたと聞きました。どうなったのでしょうか?」
宿泊は旅館業法3条1項所定の許可を得て旅館業者が営む事業ですが、2020年のオリンピック等を控え国内外からの観光旅客の宿泊需要に対応すべく、新たに届出を条件に省令の定める設備を儲け一年間で180日を越えない日数で宿泊料を得て住人に人を宿泊させる「民泊」制度を創設。平成20年6月16日法律第65号「住宅民泊事業法」、(通称「民泊新法」)が成立し、本年6月15日から施行されました、
本件は新法施行以前の事件ですが、今後も危惧されるケースのため検証しましょう。
AはO市中心部の15階建てのマンション(全70戸)の10階の住戸(72.25m2)を平成19年12月に購入、平成22年まで居住していました。同年から平成26年10月までBに賃貸後、同年11月から平成28年8月上旬まで、仲介会社を介して1~2週間程度ずつインターネット上のサービスを通じて申し込んだ外国人旅行者等(2~7人)に1日1万5000円(保証人・敷金なし)で民泊を経営していました。
平成27年1月16日、同マンションの賃貸組合は、理事長名でAと仲介会社に「厳重注意連絡」文書を送付しました。不特定多数の外国人が本件建物に出入りしてホテル代わりに使用し、管理規約(住戸は住宅または事務所として使用)の用途に違反していると通知、エントランスやエレベーター内で騒ぐので至急改善を求めました。同年3月8日、組合が臨時総会を開き管理規約を改正。住戸部分は不特定多数の実質的な宿泊施設としての使用や、会社寮等としての使用を禁じるという内容でした。
同年5月18日、管理組合からAに勧告書を送信。規約改定後もホテル代わりの使用が続いており、他の居住者から苦情が殺到しているため、事態は区分所有法6条1項(共同利益違反)に該当すると、同57条1項に基づき使用を停止しました。同年8月13日、管理組合代理人弁護士がAに同旨の停止を請求。同月26日、Aが管理組合に回答しAは各使用者とその都度賃貸借契約書を締結しており、旅館業法に反しないと抗弁しました。
平成28年2月、組合がAを提訴。民泊差止めと不法行為の損害賠償(弁護士費用50万円を請求しました。裁判中の同年10月21日、Aが本件物件を売却し区分所有権の登記を移転。平成29年1月13日判決で、Aが区分所有権を喪失した為、所有権に基づく法57条の停止請求は棄却されましたが損害賠償については、「Aの民泊経営のために、鍵の管理、床の汚れ、ゴミの放置、非常ボタンの誤用等共同利益違反を生じたから本件建物における民泊営業は不法行為に当たると言え、被告は弁護士費用相当額の損害賠償をしなければならない」と請求を認容しました(大阪地裁 平成29年1月13日判決 判例秘書)。
新法は事業者に対する知事の業務改善命令や業務停止や廃止命令等を規定し、行政上の対処も諮っていますが、マンション民泊等については近隣迷惑が危惧され、各組合が規約の制定や改正を検討しています。
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