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買主Xは、売主Yと8戸の専有部分を有する3階建の建物・土地を、Yの瑕疵担保責任期間を3ヵ月、付帯設備の瑕疵担保責任を負わないとする契約内容で売買契約を締結し、平成25年2月に引渡しを受けた。なお契約時、Yは301号室に居住していたが、Xに301号室に水漏れが発生したことはないと告知した。
Xは、クロスや床等の張替え工事後301号室に入居したが、同年4月に出窓天井のクロス張替え箇所に、水によるシミを発見し、仲介会社を通じてYに問題を指摘したところ、Yは同室にかつて水漏れがあったことを明かした。
同年5月、Xはエレベーターの塔内に遅くとも平成22年10月から水漏れが確認されており、平成24年12月の定期点検時、経年劣化による部品交換の必要性が指摘されていたことを点検会社から聞いた。
Xは平成26年2月に、エレベーターの部品を交換し、また、210万円を支出し301号室の出窓回りの防水工事、エレベーター室の補修工事、屋上全体の防水工事等を、さらに同年6月に、301号室の出窓に再度シミが発生したため、210万円余を支出し、建物外壁の補修工事を行った。
Xは、Yは瑕疵担保責任、または、説明義務違反による不法行為責任を負うとして、これら交換・補修と消化器の取替え、残置物の撤去、テレビアンテナ設置等の費用等、計542万円余の損害賠償を求め提訴した。
裁判所は次のとおりに判示し、Yの瑕疵担保責任による水漏れに関する請求は認容したが、その他の請求は棄却しました。
(1)301号室は、契約時点に隠れた瑕疵が存在していたと考えられ、Yは瑕疵担保責任を負い、Yは同時点に水漏れを認識したと考えるのが合理的であるから、水漏れを知りながら、Xに告知しなかったことになり、Yを瑕疵担保責任期間の特約により免責することは信義に著しくもとるとはいえ、悪意の売主に瑕疵担保責任免責特約の効力を否定する民法572条の法意に照らし、許されない。Xは、水漏れ発券から1年以内に提訴しており、Xの請求は除斥期間により妨げられない。エレベーターの水漏れの瑕疵も同様である。
(2)エレベーターは、Xの部品交換前も支障なく使用できていたこと、また、消化器および残置物は建物の一部でないことから、Yの瑕疵担保責任や説明義務違反の問題とならず、テレビ視聴が一時できなかった点も瑕疵とはいえない。
(3)Xは、屋上全体の防水工事に210万円、建物外壁の一面全体の補修工事に210万円余を支出したが、エレベーターと301号室の水漏れに相当因果関係のある損害割合計は159万円とみるのが相当である(東京地検 平成28年1月27日判決)。
本件は、売主が瑕疵を知っていて告げなかった場合の典型的な事例であり、仲介会社が、売主に物件状況を告知してもらう際、知っていて告げない場合のリスクを売主に説明する場合や、設備等の瑕疵が経年劣化かについて疑義が生じた場合の一つの参考になるものと思われる。
※(一財)不動産適正取引推進機構 実際にあった判例からを参照しています。
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