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妻が遺言で夫の相続廃除を請求。家裁は認容し、抗告審で却下

【ご相談】

病床の老妻に夫が離婚訴訟や刑事告訴を連発し、妻が遺言で夫の相続廃除を請求。裁判は一・二審で逆転したと聞きました。どんな事例ですか?

遺産形成への寄与を考慮

遺留分を持つ推定相続人が被相続人に対し虐待、重大な侮辱、その他著しい非行があったとき、被相続人の廃除を家裁に請求できます。また、遺言も可能(民法892条、893条)です。廃除は相続権を完全にはく奪する制度なので、被相続人の恣意がないよう家裁が可否を決めます。父親が長男の暴力に困却し廃除を請求した事例もありますが、今回は妻が夫の廃除を請求した事例です。

AはB女と昭和50年10月婚姻。両親と同居し、長男長女をもうけ自動車修理業を創業。昭和63年7月㈱Dに法人化し、代表取締役A、取締役B(経理担当)外となりました。平成8年12月、ABはDの工場内に住居を移転。平成24年にはAの父親が死去し、Aは自宅で食事後、Bの作った母親の食事を持って実家に赴き、翌朝戻る生活を、平成28年1月に母親が特養ホームに入居するまで継続しました。

平成25年6月頃、Aが近隣の女性宅に赴いていたことからBがAの不貞を疑い、Aの写真や女性の写真のコピーに「死ね」とか「色きちがい」と書いてAの居室に貼付。翌年4月、Bが「AはDの作業を怠り母親の面倒も見ない」と抗議したところAから暴力を振るわれ、加療約6週間の頸椎捻挫・靭帯損傷等を受傷しました。

平成27年9月、Aに対してD取締役の長男長女が奈良家裁K支部に親子関係円満調整調停を、BがAに夫婦関係調整調停を申し立てましたが、いずれも翌年2月不成立で終了。同年12月、Bは大腸がんの診断を受け、手術し、1年間の安静を指示されました。

平成28年8月8日、Aは自損事故の右足骨折等で10月3日まで入院し、Bの世話を受け、同年末頃までAは自宅でBらと食事をとっていました。同年Bは肝臓にかんが転移。平成29年4月に入院し、退院後自宅療養を続け、平成31年×月に死去しました。

Aは前記調停の不成立後、平成28年夏にBを相手方に同支部に離婚調停を提起し、9月に不成立。翌月に同支部に離婚訴訟を提起し離婚と財産分与1400万円慰謝料300万円を請求しました。平成30年3月、同支部は婚姻関係の破綻はないとAの請求を棄却。Aは大阪高裁に控訴しましたが、高裁も同旨で控訴棄却。Aは最高裁に上告受理申立て、令和元年5月にBの死亡による上告不受理の決定となりました。

他方でAは、平成28年3月臨時株主総会を開き、Bと二児の取締役を解任し役員報酬を打ち切ったため、Bは婚費分担請求調停を申し立てました。同年5月にDはBに対し、不当利得返還訴訟を提起し、翌年6月会社法違反の被疑事実でBを刑事告訴。Bは平成×年2月15日付遺言公正証書でAを推定相続人から廃除の意思表示をしました。

遺言執行者の申立てに奈良家裁K支部は「訴訟等はすべてAの敗訴で確定したが重篤な病気を抱えたBに与えた肉体的精神的苦痛は甚大であり廃除が相当」と認容。Aの即時抗告で大阪高裁は「遺産はABが営んだDの事業を通じて形成された。本件は夫婦の44年間に及ぶ婚姻生活のうち5年余間に生じた不和が高じたものであり、遺産形成へのAの寄与を考慮すれば遺留分否定が正当であるとは評価できない」と原審判を取り消し、廃除請求を却下しました(奈良家裁K支部 令和1年12月6日審判、大阪高裁 令和2年2月27日決定 判例時報2480号)。

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