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賃貸のお困りQ&A

公正証書遺言が口授の不備で無効

【ご相談】

「公正証書遺言が裁判で無効になったと聞きました。どうすれば正しい遺言ができますか?」

口授とは遺言の核心的部分を言語で陳述すること

普通方式の遺言は自筆、公正、秘密の三方式ですが、公証人作成の公正証書遺言が代表的で数も多く、この無効は衝撃でした。実例を検証しましょう。

X(大正8年生)は昭和23年に夫Yと婚姻し三男二女をもうけ、Yが平成9年に、本人は平成22年4月に死亡。遺産は住居と敷地の各持分と預金です。

住居は昭和59年に建設され、YとX、三男夫婦が居住。Yの死後、Xは三男や二女(自宅が近隣)およびヘルパーの介護を受け、平成21年4月までは日常生活を自立していました。その後、肋骨骨折、左大腿骨骨折、肝性昏睡、肝硬変等で入退院と通院を繰り返し、その間の意識レベルの変化を伴う認識障害の状態が見られるようになりました。入退院および通院の一切は二女が面倒を見ており、同年12月末以降は二女の自宅で生活していました。

Xが大腿骨骨折で入院中、Xの実兄夫婦が見舞いの際、遺言が話題となりました。退院後の11月18日、Xは実兄夫婦を訪ね、遺言状作成を試しましたが、書き損じて一枚を残して破棄。一枚は本文日付指名が自筆されており、5ヵ所の押印は二女、訂正の説明や署名はない状態でした。同月27日、Xは二女とともにS公証役場を訪ね、公証人と面会。遺産の配分を二女が2分の1、三男と孫が4分の1とする二女筆記のメモを呈示。公証人は他の相続人の遺留分を考慮を助言し、結論を保留しました。12月24日、Xは二女と実兄夫妻(証人)とともにS公証役場を再訪。Xはうつむいた状態でしばらく黙してから、公証人に「二女に全部」と申述しました。義姉が「5人いるのよ。それでいいの」と話すと「孫にも」と述べ以降は沈黙。公証人は別席で遺言案を作成し、二女に10分の5、他の相続人と孫に各10分の1、X死亡前に相続人が死亡した場合の対処等の遺言を公証人が読み上げ、「これでいいの」と尋ねるとXは頷きました。平成22年1月7日、Xは二女と実兄夫妻(証人)とともに、公証役場を訪れ、前回の遺言案を公証人が読み上げ「いいですか」と尋ねると頷き、Xと証人二人が署名押印しました。

平成22年4月、Xが死亡し、同年9月10日に公正証書遺言に基づく登記を経由しました。翌年、長男長女三男が原告となり二女とその孫、亡次男の妻を被告とし、公正証書遺言は口授の要件を欠き無効、自筆証書遺言は遺言能力がなく無効であるとして移転登記の抹消および更正登記手続きを求めて提訴しました。東京地検は、「公正証書遺言は証人2人以上の立会いがある中、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授する必要であり、口授とは遺言遺言の核心的部分の概括的内容を言語で陳述すること」であり、「本件は口授が認められない」、自筆証書遺言は遺言意思がないと原告の請求を全て容認しました。(東京地裁 平成27年1月16日判決)。二女等の控訴で東京高等裁判所は事実を詳細に調べて口授の存在を否定し、控訴を棄却。二女らの上告も棄却され、受理上告申立は不受理で終了しました(東京高裁 平成27年8月27日判決 判例時報2352号)。

遺言は遺言者の死亡で効力を生じるため、厳格な要式行為(民法960条)であり、正しく遺言するには遵守すべき要件を省略しないことが大切です。

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